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タイトル:おばあさまのお家へ/狼さん 童話

むかしむかし、あるところに、とても可愛らしい女の子がいました。
 ある時、その女の子のおばあさんが赤いビロードの布で、女の子のかぶるずきんを作ってくれました。
 そのずきんが女の子にとても似合っていたので、みんなは女の子の事を、『赤ずきん』と呼ぶ様になりました。

 ある日の事、お母さんは赤ずきんを呼んで言いました。
「赤ずきんや、おばあさんがご病気になってしまったのよ。おばあさんはお前をとっても可愛がってくださったのだから、お見舞いに行ってあげなさい。きっと、喜んでくださるから」
「はい、お母さん」
「それじゃあ、このケーキと、上等なブドウ酒を一本持ってお行き」
 赤ずきんがおばあさんの所へ一人で行くのは始めての事だったので、お母さんは心配でたまりません。
 でもお母さんには用事があって、一緒に行けないのです。
「いいですか、途中で道草をしてはいけませんよ。それから、オオカミに用心するのですよ。オオカミはどんな悪い事をするかわからないから、話しかけられても知らん顔しているのですよ」
「はい、お母さん。大丈夫よ」
 赤ずきんは、お母さんを安心させるように元気良く、
「いってきまーす!」
と、言って、出かけて行きました。

赤ずきん(test) 2012年11月04日 (日) 15時52分(308)
 
題名:

おばあさんの家は、ここから歩いて三十分ぐらいかかる森の中にありました。
 その日はとても天気のよい日で、赤ずきんがスキップしながら歩いていると、そこへオオカミが現れたのです。
「こんにちは。赤いずきんが可愛い、赤ずきんちゃん」
 オオカミはニコニコしながら、赤ずきんに話しかけました。
 赤ずきんはお母さんに言われた事を思い出しましたが、動物好きの赤ずきんには、ニコニコしているオオカミが悪い動物には見えません。
「こんにちは、オオカミさん」
 赤ずきんが返事をしてくれたので、オオカミはニヤリと笑うと尋ねました。
「赤ずきんちゃん、今からどこへ行くの? たった一人で」
「あのね。おばあさんのお家よ。おばあさんがご病気だから、お見舞いに行くの」
「そうかい。それは偉いねえ。・・・おや? そのバスケットの中には、何が入っているのかな?」
「ケーキとブドウ酒よ。おばあさんのご病気が早く良くなる様に、持って来たの」
「なるほど、それでどこだい? おばあさんのお家は」
「森のずっと奥の方よ。ここからなら、歩いて十五分くらいかかるわ」
「十五分か・・・」
 オオカミは、ちょっと考えました。

狼 2012年11月04日 (日) 15時52分(309)


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